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「未来の大阪の運動会」に関するニュースやレポート、関わる人達の生の声をお届けします。

「運動したら最悪死ぬよ?」心臓移植待ち女子が運動会に参加する理由

“未来の大阪の運動会”に、「運動したら最悪死ぬ」と言われている一人の女性が参加します。

彼女の名前は辰巳遥。
2017年に29歳で拡張型心筋症を発症し、現在補助人工心臓を装着しながら心臓移植待機生活をしています。

患者でありながら看護師の彼女は、『人とつながり、まちを元気にする』コミュニティナースとして活動しています。

▶︎コミュニティナースとは?

コミュニティナースとは

なぜ、「運動したら最悪死ぬ」彼女が「運動会」に参加するのでしょう。彼女と同じくコミュニテイナースの仲間である筆者が、ユニークな彼女の人柄とともに紹介いたします。

 

補助人工心臓装着&心臓移植待ち女子、辰巳遥とは?

辰巳遥さんは、1988年大阪市生まれのチャキチャキ大阪女子。
華奢で色白だけど、声が大きい(!?)、笑顔も大きい、元気いっぱい、そんな第一印象の女性。

実は繊細で、一人で悩むことも立ち止まったこともあるけれど、やはり行動派。「やりたい!」と思ったことはすぐにアクション。しかし、全速力で人生を駆け抜けていた時、突然、急ブレーキをかけられたように重い心臓病が発覚しました。

 

人を癒す看護師へ。自分を癒してくれた馬との出会い

遥さんは、幼い頃にお父様を心臓病(拡張型心筋症)で亡くされたことがきっかけで看護師の道へ進みます。しかし、想像以上の激務によって心労がたまり、一旦退職をすることになりました。

自分を責めて過ごす日々。そんな時に出会ったのが「馬」でした。

「父が競馬を見ていたこともあって、昔から馬を身近に感じていました。だから、ちょっと気分転換に乗馬してみようかな、って」

乗馬のレッスンで馬と触れ合うたびに、自分自身が癒されていることに気づいた遥さん。乗馬の技術とともに、精神面も日々成長していることに気づかされ、すっかり乗馬の虜になったそうです。馬のおかげですっかり元気になった遥さんは、障がい者施設の看護師として働くことになりました。こちらでは、スポーツを楽しむ障がい者たちの笑顔に触れることができたそうです。

「人ってこんなに笑顔になれるんだ!」

スポーツと笑顔。馬と笑顔。そして看護師。
彼女の好きなこと、生きがいがつながった時、引き寄せられたかのように遥さんの人生が大きく動いたのです。

 

「馬ふん」で障がい者の笑顔を増やしたい

ホースセラピー、障がい者乗馬。この言葉が彼女のアンテナに引っかかりました。障がい者乗馬とは、馬と接することで障がいを持つ人のメンタルと運動機能を向上させるものです。

自分自身も馬によって心身が回復した経験があった遥さんは、この取り組みにとても共感したそうです。2015年10月、障がい者乗馬を20年以上も取り組んでいる北海道・浦河町へ移住することに決めました。

「看護師と馬が組み合わさって、何かみんなでおもしろいことができたらいいな」

こんな想いを胸に、北海道・浦河町の地域おこし協力隊として活動を開始しました。
「浦河町らしいお土産品が作れないか」と、何日も何ヶ月も悩んだ末、馬ふんの繊維を活用した「ばふんペーパー」を開発。しかも、障がい者と共に制作するという、遥さんらしさが生きた事業がスタートしました。

▶︎ばふんペーパープロジェクト
https://www.urakawa-bpp.net

「わたしはみんなを笑顔にしたかったんだ!」

ばふんペーパー制作を通して、障がい者の仕事を作り、やりがいを生み出し、笑顔を増やすことに成功した遥さん。
「よし、このまま突っ走るぞ!」そう思った矢先の出来事でした。

 

拡張型心筋症で緊急入院。自分自身が「障がい者」へ

2017年8月、突然の救急搬送。重症心不全。
アクティブで元気いっぱいな20代の遥さんには似つかわしくない病名でした。この時の遥さんは、回り始めた事業のため休みなく働いていたそうです。

浦河町から救急車で3時間半、札幌の大学病院へ入院することになりました。しかし、病状が回復することは難しく、「心臓移植しか道がない」と言われてしまいます。

2017年11月、やむなく実家のある大阪の病院へ転院することになった遥さん。しかし、いつも病院のベッドで思うのは、北海道・浦河町で一緒に働いていた障がい者たちのことでした。

自分が始めた事業を自分のせいでストップさせてしまったこと、多くの人たちの笑顔を無くさせてしまったこと、自分勝手に北海道へ行ったと思ったら闘病のため家族に迷惑をかけざるを得ないこと、全てが遥さん自身を追い詰めて行きました。

「こんな私が生きる価値はあるのか? 他人の臓器をいただく価値があるのか?」

病院のベッドで独り、辛い症状と共に心の中も闘っていたそうです。
しかし、遥さんは少しずつ希望を取り戻すことになります。それは、お見舞いに訪れてくれた、たくさんの人たちの言葉でした。

「元気に動けるようになったら、また活動してくれたらいいんだから」「また活動できるようになって、どんどん笑顔の輪を広げてもらえるのを待っているから」「生きてさえいれば、少しずつでも前に進むはずだから」移植を受ける価値がある人間であるかそうでないかは、自分が決めるのではなくて、周りが認めてくれること。そう気づきました。
引用:馬糞系ナースの生きる道 #02「生きる道、真っ只中」 | ウブマグhttp://ubmag.jp/interview/post-3734

「周りの人が認めてくれるように生きていこう」
そう思えるようになった時、心臓移植希望登録を決めたそうです。

それから遥さんは、補助人工心臓を挿入、リハビリを経て、心臓移植待機生活を送っています。

 

補助人工心臓[Ventricular Assist device (VAD) ]とは?

補助人工心臓[Ventricular Assist device (VAD) ]とは、重度の心不全状態に陥ってしまった心臓の代わりに、血液循環を補助するものです。通常、手術によって直接心臓に取り付けられます。術後、状態が回復した患者さんは、ある程度自由に動くことができるようになります。

遥さんもこちらの手術を受けており、一見、健康な人と見た目は変わりません。しかし、制限やリスクを抱えながらの生活をしています。

●機械の異常や病状悪化で、いつ意識を失ってもおかしくないリスクがある
●24時間、補助人工心臓機械のテストに合格した「介助人」が付き添う必要ある
●対応できる病院が少ないため、行動範囲の制限がある

上記のリスクや制限の他にも、注意することはまだまだあります。
補助人工心臓は、まだ広く認知されていないものなので、医療者でも知らないことが多いと言われています。(筆者も看護師ですが、知らないことだらけで驚きと恥ずかしさでいっぱいになりました……)

しかし、補助人工心臓を挿入した方を支える「介助人」というのは、一般の人でもなることができます。遥さんの周りには、応援してくれる家族や友人たちが積極的に介助人のテストを受けてくれたそうです。

遥さんは、実体験や医療者としての知識を織り交ぜながら、拡張型心筋症などについてリアルに綴っています。ぜひ、ご覧ください。
▶︎D C Mナースはるかの 拡張型心筋症
https://www.dcm-nurse-haruka.com

 

「運動したら最悪死ぬ人」だって参加できる、未来の運動会

遥さんは現在、自分の病気と闘いながら様々な取り組みをしています。
北海道・浦河町で生まれた「ばふんペーパープロジェクト」は、遥さんの移動制限範囲内である「淡路島」で復活を遂げています。
▶︎ばふんペーパープロジェクト
https://www.urakawa-bpp.net

その他にも、得意な洋裁をしたり、『人とつながり、まちを元気にする』コミュニティナースを育成することにも携わっています。

すべては「人を笑顔にしたい」という、遥さんの一貫した想いがあってのことです。

そんな遥さんが次に挑んでいるのは、「運動会」の企画です。
「未来の大阪の運動会」は、「新しいスポーツ」を作り・体験する運動会形式のイベントです。レーザーや光センサーなどのテクノロジーをスポーツと融合させたユニークな競技で競い合います。

去年2018年に始まった「未来の大阪の運動会」は、地域交流を目的とされ、関西の方を中心に1歳〜71歳までの方が参加されました。
しかし、今年はもう一歩踏み込みたい、「運動が苦手な人も、障がいを抱えた人も参加してほしい」ということで遥さんに声がかかりました。

「運動してはダメ、『運動したら補助人工心臓のケーブルがちぎれて死ぬよ?』と医者から脅されている(笑)私も今年は参加します!!

「普通」の運動がダメ・苦手なら、自分に合った「新種」の運動をつくればいいんです。それが楽しければ、運動として続けられる。
仲間が集まれば、運動会になる。ということを私が証明したいと思います!」

引用:馬糞系ナースの生きる道 #5「未来の(!?)運動会で会いましょう」| ウブマグ
http://ubmag.jp/blog/post-6065?fbclid=IwAR02dA5u-_YhYZRucyYOUUfYQmZfzqgcLBC63POnqyMQEF8_sece1Um9HWY

遥さんは「未来の運動会2019公認アンバサダー」として、呼びかけています。
「我こそは、運動できない」という方こそ、足を運んで欲しいそうです。「運動音痴な私でも勝てるかも?」と、運動会が憂うつだった筆者も参加してみたいと思います!

【未来の大阪の運動会】
2019年11月9日(土)・10日(日)

「新しいスポーツ」を作り・体験する運動会形式のイベントです。
1日目の“スポーツハッカソン“では、頭と身体をフル回転して、新しい【種目】や運動会の様々な要素を作り上げます。2日目の“未来の運動会“では、大阪・キタに「住んでいる人」「働いている人」「学んでいる人」「遊びに来る人」、誰もが一緒になって、ハッカソンで作った【種目】や【運動会】を楽しみます。

(記事:コミュニティナース 安本 ひとみ)

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